AS400リプレイスの全貌:課題・メリット・選択肢と導入フローAS400は堅牢性や安定性で長年活用されてきた企業向けシステムですが、近年は老朽化や技術者不足などの課題が顕在化してきています。本記事では、AS400が抱える問題点やリプレイスのメリット、さらに既存システムを最新技術にモダナイズする際の選択肢や導入フローについて、詳細に解説します。また、実際の導入成功事例も取り上げながら、リプレイスを検討する上でのポイントを整理していきます。AS/400とは。概要と歴史を解説まずはAS/400がどのようなシステムであり、どのような背景のもと誕生したのかを押さえておきましょう。AS/400は1980年代後半に登場し、企業の基幹業務を効率化するために開発されたシステムです。オフコン(オフィスコンピューター)の一種として、多様な業界・業種のユーザーに採用されてきました。堅牢なハードウェアと独自のOSを備え、安定動作を前提とした設計が特徴です。しかし近年では、ハードウェアの老朽化、部品の供給停止や独自技術を扱える技術者の減少が問題視されるようになっています。これらの背景を踏まえると、AS400の動向を正しく理解し、最適な運用方法やリプレイスの先を検討することが重要になります。オフコンとしてのAS/400の特徴AS/400はオフコンとしての利用を前提に、安定動作を重視したシンプルな設計がなされています。特に独自OSであるIBM i(旧称OS/400)は、トランザクション処理に強く、財務や生産管理などの基幹業務における高速処理を可能にしてきました。AS400が抱える課題:老朽化と技術者不足長期にわたり運用されてきたAS400には、ハードウェア・ソフトウェア両面での老朽化や技術者不足といった問題があります。AS400は長年にわたり改良を重ねながら使用されてきましたが、システムの複雑化が進むにつれ、内部構造の全容を把握できる人材の確保が難しくなっています。特にRPGなど独特の言語が使われている場合、新たな人材を育成することに時間とコストがかかる傾向にあります。また、ハードウェアそのものも保守部品の入手が困難になりがちで、突然のトラブルが発生した場合に即座に復旧できないリスクも増しています。こうした要因はシステム停止リスクを高めるだけでなく、業務効率の低下を招く可能性があるため、早期の対策が必要になります。これらの課題を克服するには、次世代技術者の育成やシステムの見える化、さらには段階的なリプレイスやモダナイズの検討を行い、運用リスクをいかに低減していくかが重要です。システムのブラックボックス化への影響AS400は使い方次第で多くの機能を引き出せますが、それだけに長年のカスタマイズによって構造が複雑化しやすいという問題があります。担当者以外がソースを解析できない部分が増えると、障害発生時に迅速な対処が難しくなります。システムのブラックボックス化が進むと、障害原因の特定に時間がかかるのみならず、必要なアップデートや機能追加も滞るケースが出てきます。結果として、企業全体の生産性に悪影響を及ぼすことも少なくありません。こうしたリスクを回避するには、定期的なドキュメント化とシステム解析ツールの活用が不可欠です。リプレイスを進める上でも現状の把握が大前提となるため、ブラックボックス化したシステムの可視化が第一歩と言えるでしょう。パートナー廃業によるメンテナンスリスクAS400の維持には専門性が高い技術者や特定のベンダーの継続的なサポートが欠かせません。しかし、そのパートナー(ベンダー)が規模縮小や廃業を検討している場合、メンテナンスを継続できなくなるリスクが高まります。特にコアシステムを担当するパートナーが突然事業撤退を表明した場合、企業側は代替手段を迅速に探さなければならず、システム停止や保守費用の増大につながりかねません。こうした状況を避けるためにも、企業体力のあるパートナーを選定することが重要です。AS400のメリット一方で、AS400固有の強みも見逃せません。高い信頼性や安定性など長年培われてきた利点について確認します。まず安定性の面では、OSとハードウェアが一体化して設計されているため、深刻なシステムダウンに至るケースが比較的少ないことが挙げられます。金融や製造業など、稼働停止が大きな損失を招く業務にも安心して利用できる点が大きな魅力です。次に、トランザクション処理の強さも見逃せません。膨大なデータを対象にしても処理速度を維持しやすく、バックアップやリカバリにも独自の仕組みを持っているので、業務継続性を重視する企業には頼りになる存在でした。その為、引き続きAS400を利用される企業も少なくありません。AS/400のリプレイス成功事例当社では実施させていただいたAS400のリプレイスの成功事例を、ご紹介します。製造業のお客様は、AS400リプレイス時期を迎えた際に、堅牢性、安定稼働から今後もAS400を使用したいご意向がありました。当社では、あらゆる業界に対して長きにわたってAS400のシステム開発、保守を担ってきた実績がありました。その為、経験豊富な技術者をによる対応で問題なく移行させることができました。ハードリプレイスのメリット・デメリットAS400のハードリプレイスにはいくつか、メリット・デメリットが存在します。メリット最大のメリットは既存資産の継承ができることです。RPGやCOBOLなどの既存アプリケーションをそのまま利用可能な為、データベースや業務ロジックの再構築が不要で、移行コストを低く抑えることができます。またAS400は30年以上の実績があり、ダウンタイムが少なく、業務継続性に優れ、高い信頼性と安定性があります。デメリットただしデメリットとして技術者不足や保守部品の供給懸念があります。AS400に精通した技術者が高齢化・減少しており、保守・運用できる企業が少なくなってきています。部品供給も流通在庫が無くなると、以後の部品供給が停止してしまう恐れもあります。また、最新技術のクラウド、AI、ビッグデータなどのモダン技術との連携が困難です。その為、今後は、モダナイゼーション推進などは必ず検討する必要があります。モダナイズのメリット・デメリットAS400をクラウドや最新の技術基盤へ移行するモダナイズには、それぞれメリットとデメリットがあります。メリット最大のメリットの一つは、クラウド上のリソースを活用することで初期導入コストを抑えつつ、必要に応じて柔軟にスケールアップ・スケールダウンできる点です。オンプレミス環境の保守費用やハードウェア更新の負担が軽減され、ランニングコストを合理化できます。従来のAS400上で動作していた業務を最新言語やフレームワークに移行することにより、新規機能の追加や外部システムとの連携が格段に容易になります。これにより企業が変化への対応力を高めることもできます。デメリット一方で、移行作業や学習コストの増大など、モダナイズには避けられないデメリットも存在します。まず、AS400上で稼働する業務ロジックを新しい環境に合う形へ最適化するには、システム解析とプログラム再設計が必要になります。そのため、時間や費用がかかるだけでなく、専門的なスキルを持つ人材を確保するハードルも高くなりがちです。さらに、移行期間中は旧システムと新システムの併用が発生するケースも多く、オペレーションが複雑化するリスクがあります。ユーザー部門への周知やトレーニングが不足すると、業務プロセスが混乱してしまう可能性も否定できません。こうしたデメリットを解決するためには、パートナーの活用を積極的に検討する必要があります。まとめAS400のリプレイスには課題とリスクもありますが、今後の企業システムの持続的な発展を考える上で検討が欠かせません。老朽化や技術者不足という深刻な問題を抱える一方で、AS400には信頼性や運用実績といった大きな強みがあります。これらを最大限に活かしながら、クラウドや最新技術を取り入れることで、ビジネスの成長を後押しできるでしょう。日本システム技術株式会社(JAST)における導入事例当社では公共サービス、金融、保険、製造業など、あらゆる業界に対して長きにわたってAS400のシステム開発、保守を担ってきた実績があります。その為、経験豊富な技術者を有しております。AS400のリプレイス事例を下記で紹介しておりますので、是非ご参照ください。また個別の問い合わせも受け付けております。AS/400リプレース対応当社の技術領域